
第一回 大和市花火大会が開催されました!

「睡眠を削れば、もっと活動できる」「食事を減らせば、もっと見栄えがよくなる」。どちらも、成果を急ぐときに魅力的に聞こえる言葉です。けれど、その成果は何のためのものでしょうか。自分が元気に暮らすためなのか、それとも、誰かからすごいと思われるためなのか。
短時間睡眠と筋トレをめぐる発信を見るときも、考えたいのはこの点です。人の目を引く生活と、健康を長く保てる生活は、必ずしも一致しません。
日本ショートスリーパー育成協会の公式プロフィールでは、代表の堀大輔氏について、独自の方法で「1日45分以下」の睡眠になったと紹介されています。同協会は有料のプログラムも提供しています。
ここは懐疑的に受け止める必要があります。本人側の実践談だけでは、客観的に測った総睡眠時間、長期的な健康への影響、ほかの人が同じ方法を再現できるかまでは分かりません。仮に短い睡眠で筋肉を増やせたとしても、十分に眠った場合より成果がよいのか、健康面で無理がないのかは別の問題です。
なお、現在の公式サイトは、サービスを生活習慣を整える教育・サポートと説明し、医療行為ではないとしています。だからこそ、印象的なプロフィールや体験談を、医学的な安全性の裏付けとして受け取るべきではありません。
当ジムが違和感を覚えるのは、健康への影響を慎重に確かめたい実践が、その極端さゆえに人の目を引き、商品やサービスへの関心につながり得る構造です。
有料で知識を提供すること自体が問題なのではありません。私たちパーソナルジムも、サービスを提供して対価をいただいています。問われるのは、売り手にとって魅力的な宣伝と、受け手にとって信頼できる根拠を、きちんと分けているかです。
堀氏本人の収益額や、注目を集めることが発信の目的かどうかは、ここで確認した資料からは判断できません。ただ、話題になること、商品が売れること、方法が安全であることは、それぞれ別です。「これだけ注目されているのだから正しいはず」と考える理由にはなりません。
その構造は、私たちのSNSにも少し重なる
写真で細く見えるために食事を抜く。腹筋を見せたいから、疲れていても運動を追加する。短期間で体重が落ちた投稿に反応が集まると、さらに食事を減らしたくなる。そんな場面は、一般の人の体づくりでも起こり得ます。
収益と「いいね」では、得られるものも責任も違います。それでも、外からの評価がうれしくて、自分の体調より見せる成果を優先するという点には、共通する落とし穴があると考えます。
きれいに見られたい気持ちを否定する必要はありません。ただ、写真に写るのは体の一面です。眠気、疲れ、集中力の低下、食べることへの不安までは写りません。見た目が変わったことだけで、取り組みが順調だと決めないことが大切です。
医学でいうナチュラルショートスリーパーは、生来、少ない睡眠でも日中に過度な眠気がない人を指します。意図的に睡眠を削っている人とは区別されます。そのような体質の人がいることは、誰でも訓練で同じ状態になれる証拠ではありません。
2020年の研究では、健康な18〜40歳の男性24人を3群に分け、5晩にわたり睡眠機会と運動の影響を調べました。ベッドで過ごせる時間が1晩4時間で、追加の運動をしなかった群は、8時間の群より筋肉のたんぱく質をつくる速度が約19%低くなりました。
これは「筋肉量が19%減った」という意味ではありません。また、4時間の睡眠機会に高強度インターバル運動を組み合わせた群では、この指標は8時間の群と同程度でしたが、少人数・短期間の結果です。運動が睡眠不足の影響すべてを打ち消すとも、極端な短時間睡眠が長期的に安全だとも言えません。
食事制限にも同じ注意が必要です。2023年の国際オリンピック委員会(IOC)の合意声明は、運動で使う分を差し引いた後、体の機能を維持するエネルギーが十分に残らない状態が、問題となる程度・期間で続くことのリスクを整理しています。男女のアスリートで、骨や生殖機能、免疫などの健康と競技能力に悪影響が生じ得るとされています。
これは一般の人のダイエットを一律に診断する基準ではありません。それでも、「よく運動し、食べる量が少ないほど健康」という考えに歯止めをかける知見です。体重が減っていても、体に必要なものまで不足していないかを見る必要があります。
健康的に体を変えるために、次の3点を確認してみてください。
睡眠を削ることを目標にしない。厚生労働省は成人に、個人差を踏まえ、6時間以上を目安に必要な睡眠を確保することを勧めています。6時間で誰でも十分という意味ではなく、日中の眠気や休めた感覚も大切です。
見た目と一緒に、体調も記録する。体重や写真だけでなく、疲労、集中力、トレーニングの調子などにも目を向けます。不調を努力の証しにしないことです。
発信の迫力より、根拠を確認する。体験談なのか研究なのか、誰を何人、どのくらいの期間調べたのか。不都合な結果や限界まで説明されているかを見ます。
強い眠気や疲労、月経の異常、食事への強い不安などが続く場合は、さらに制限を強めず、医療機関に相談してください。
「誰にも見せなくても、この生活を続けたいだろうか」。体づくりの途中で、そう問い直してみるのもよいと思います。見栄えをよくする喜びと、よく眠り、食べて、元気に動ける喜びは、両立させたいものです。
BodyDesignGYMも、目を引く変化だけを成果とせず、科学的な知見と一人ひとりの体調を大切にしたいと考えます。パーソナルジムは、無理を競う場ではなく、生活に合った運動を考える場として役立ててください。
日本ショートスリーパー育成協会「講師の紹介」:本人側によるプロフィールと睡眠時間の説明。
同協会「特定商取引法に基づく表記」/公式サイト「睡眠改善プログラム」:有料サービスの提供とサービス範囲の説明。
MedlinePlus「Natural short sleeper」:自然な短時間睡眠と意図的な睡眠制限の区別。
Saner NJ, et al.(2020)The effect of sleep restriction, with or without high-intensity interval exercise, on myofibrillar protein synthesis in healthy young men. The Journal of Physiology, 598(8), 1523–1536.
Mountjoy M, et al.(2023)2023 International Olympic Committee’s (IOC) consensus statement on Relative Energy Deficiency in Sport (REDs). British Journal of Sports Medicine, 57, 1073–1098.
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」。
情報確認日:2026年9月28日